目次[非表示]
gtdのファイリングとは
ファイリングは、gtdでプロジェクトの参考資料など、雑多な書類やメモ、資料を整理するための整理術です。
机やエバーノートの中、メールソフトのフォルダ内などが、ごちゃごちゃで整理できないという人には、特におすすめのテクニックです。
書類やノート、データがグチャグチャになっていると、「あの書類、どこにあるだろう」などと探すことで、無駄な時間を過ごすことになります。
整理されてない山積みの書類から、あるはずの書類を探す、というような全く生産的でないことに労力や手間を取られていては、いつまでたっても、仕事を素早くこなせるようにはなりません。
とはいえ、私自身もかつては、書類などが机や棚にごちゃごちゃになって山積みになっていました。
gtdのファイリングの技術を知って、こうした書類がスッキリと整理できるようになりました。
そうした私の経験からも、ファイリングはぜひ多くの人に身に付けてほしい、おすすめの考え方です。
ファイリングの重要性は~仕事の流れを目詰まりさせない
ファイリングについて「はじめのgtd」で説明しているのは、143ページから150ページあたりです。
ファイリングの整理術が、とても大事なのは、私たちの仕事や生活が日々、雑多な資料や書類に囲まれているからです。
「新聞や雑誌を読んでいて、何か参考になるかもしれないと、心に引っかかった記事」「子どもの学校から来たプリント」「行くかもしれない旅行のパンフレット」「いずれ連絡を取るかもしれない人たちの連絡先リスト」「来年度に取り組むかもしれない新規事業の関係データ」…
私自身の周りにも、こうした雑多な資料がたくさんあります。
それらを簡単に素早く整理し、また、後で必要になった時には簡単に見つけられるようにする整理術が大切です。
アレン自身は「はじめてのgtd」で、次のように書いています。
「整理システムは、シンプルかつ機能的であることが絶対条件である。ほかの人の仕事のやり方をチェックするときに私がまずやるのが、ファイリングシステムの評価だ。……うまく機能するシステムがないと、物理的なスペースと頭のスペースがごちゃごちゃになってしまう。もしかしたら重要かもしれないと思えるあらゆる資料が、見極めも整理もされないまま残っていると、心が悲鳴を上げ始める。そうなると、gtdの流れが滞り、パイプが詰まるかのように仕事が停滞してしまうのだ」(143ページ)
シンプルで機能するファイリングシステムがないと、gtdのシステム全体がうまく機能しなくなってしまいます。
シンプルな整理システムが重要
ファイリングのシステムを作るうえで、注意する大事な考え方を二つ書いておきます。
一つ目は、「簡単に、かつ、1分以内に整理できるシステム」にすることです。
アレン自身の言葉を再び引きます。
「ファイリングシステムが非効率的で、整理に1分以上かかるようだと、その書類やメールは放置されてしまう。ファイリングシステムは、迅速かつ簡単に、しかも楽しく扱えることが重要だ」(145ページ)
多くの人が、プロジェクトや分野、取引先などを細かく分けて、整理するシステムをつくりがちですが、それらは整理のために手間や時間が多くかかることになります。
何かの書類に目を通して、「これは、後で参照するかもしれないから、保管しておこう」と思ったときに、簡単に手早く、1分以内で、その書類をファイリングできることが大切です。
それ以上の時間がかかるようだと、「後で整理しよう」となって、書類を机のどこかに山積みにしてしまったりして、ファイリングのシステムが次第に目詰まりを起こすようになります。
ファイリングは、あくまで「図書館」に
二つ目の大事な考え方は、ファイリングは、「あくまで図書館(ライブラリー)として整理する」ことです。
「図書館として」という意味は、整理はあくまで「『分類』して後から見つけ出しやすくする」にとどめ、タスクを思い出すための「リマインダー」には使わない、ということです。
多くの資料は、プロジェクトの参考資料となるなど、関連するプロジェクトやタスクがあります。
このため、つい、やりがちなこととして、ファイリングする際に、そのプロジェクトやタスクの「重要度」とか「優先度」といった種類の分類を入れて、重要度の高いプロジェクトやタスクを後から思い出すためのリマインダーにしようとしてしまいます。
「この資料をみたら、あのプロジェクトのことを思い出すから、目立つ場所に置いておこう」というものです。
しかしこれでは、「タスク管理」と、「参考資料の整理」という二つの目的がごっちゃになり、後々、整理がつかなくなってしまいます。
gtdでは、ファイリングした資料はタスクやプロジェクトのリマインダーとは切り離し、あくまで資料としてのみ扱います。
その資料に関するタスクのリマインダーの管理は、Nozbeなどのgtdのタスク管理のシステムで行います。
ファイリングはあくまで「図書館」として、「必要になったら、必要な資料を取り出せる場」として管理することだけを徹底させます。
タスク管理のシステムで、「あのタスクをやらないといけないな」と思い出したときに、「だったら、あの資料を見直す必要があるな」と、簡単に素早く、その資料を取り出すことができる―これが、gtdのファイリングの役割です。
ファイリングの実際は~3つのポイント
私が実際にやっているファイリングの方法を、資料などの雑多な書類の整理について、紹介します。
アレンが本で紹介しているやり方とは、若干違います。
たとえば、アレンが推奨しているラベルライターは、私の仕事環境では使いにくいので使っていません。
アレンの考え方を応用して、自分なりにアレンジした方法の一例として、読む人の参考になれば、と思います。
ポイントを先に書くと
・雑多な書類は、クリアファイルでまとめる
・クリアファイルに付箋で見出しを付ける
・見出しを付けたファイルは、あいうえお順で並べる
です。
クリアファイルで雑多な書類を統一
ここで整理する雑多な書類の多くは、プロジェクトの参考資料です。
gtdでいうプロジェクトは、世の中一般のとらえ方より、相当幅広く、「目的の達成までに複数のステップがかかる行動すべて」です(この辺りは、5つのステップの記事などで詳しく紹介したので、割愛します)。
こうしたプロジェクトについて、さまざま参考資料が発生します。
ネット検索、雑誌や新聞の記事などで見つけた、使えそうなアイデア、あるいは、必要になりそうな備品、類似のプロジェクトや、競合他社の情報など、プリントやコピーをして取っておきたい、ということがよくあるでしょう。
また、そのプロジェクトの企画書や、依頼のメール、関係する過去の事業の記録などもあるでしょう。
プライベートで旅行をするといったプロジェクトでも、行きたい旅行先や買いたいもののパンフレット、現地の地図、準備に必要なもののリストなど、さまざまな資料が、関連して発生します。
書類の整理の難しさの一つは、こうした様々な資料の大きさや、形状がバラバラなことです。
A4だったり、A3だったり、変形の用紙だったり、あるいはUSBやディスクの形で保管しておく、というケースもあるでしょう。
整理のためには、保存の際の大きさや形状を統一して、プロジェクトごとに分類してまとめておくのが、コツです。
私自身は、クリアファイルを大量に机に用意しておき、一つのプロジェクトの関連資料は一つのクリアファイルにまとめて入れる、という形をとっています。
4つのルールで見出しをつける
クリアファイルには、付箋で見出しをつけます。
アレンの推奨する、ラベルライターを使ってもよいでしょう(私の仕事環境では、使いにくいので、使っていません)。
見出しの名前の付け方は、4つのルールのどれかから、そのプロジェクトにふさわしいものを選んで決めます。
トピック(話題)
パーソン(人)
プロジェクト(プロジェクト)
カンパニー(会社、組織)
この命名のルールについては、英語版の「初めてのgtd」の方で、詳しく書いているものです。
例えば、取引先のA社についての資料は、A社という見出しをクリアファイルにつけて入れておきます。
次に、関係する資料が出た時は、このクリアファイルを取り出して、入れておきます。
資料が多くなった時には、A社見積もり、A社プレゼンといった、サブの見出しをつけたクリアファイルをつくり、資料をさらに分類しておきます。
あいうえお順でシンプルに整理
資料を入れて、見出しを付けたクリアファイルは、その見出しの文字に応じて、あいうえお順で整理します。
あいうえお順にするのは、整理システムのルールを、できるだけシンプルな「一つのルール」にしぼるためです。
クリアファイルにつける見出しの名前の付け方のルールを上の4つに統一し、見出し付きクリアファイルをあいうえお順という一つのルールで並べておくのは、「あの資料を、どこに整理したか、忘れてしまった」というときに、書類棚の何か所かを探せば見つけ出せるようにするためです。
資料が何かの新規事業に関するものだとしたら、「新規事業で取引が生まれそうな企業の名(カンパニー)で見出しをつけたか、新規事業が関係する分野(トピック)で見出しをつけたか、どちらかだろう」と推測して、あいうえお順にしたがって、2~3個の場所を探せば資料を見つけることができます。
ルールがシンプルであることは、あるプロジェクトの資料を整理したいとき、その資料に関連するクリアファイルがもうすでにつくってあるか、ないか、分からないときにも、役立ちます。
その資料について、tppcのルールに従って、関連する人名、話題、プロジェクト名など、何か所か資料整理の棚をチェックすれば、関連するクリアファイルがあるかないか、すぐに見分けることができるからです。
整理する際も、取っておきたい資料は、すぐにクリアファイルに入れて、4つのルールで見出しをつけて並べておくだけなので、1分もかからず、簡単に素早く整理が終わります。
エバーノートでのファイリングの実際は
gtdのファイリングによる整理術は、シンプルな原則でできている分、さまざまな分野で応用できます。
平仮名4文字で見出しをつける
応用例の一つとしてエバーノートでの、私の整理の方法を紹介します。
evernoteのノートのファイリングは、まずノート名に先のtpccの4つの基準から具体的な内容が分かる名前を考えます。
分類で使うキーワードは、ノート名のどこかに入れておいた方が後から探すときにわかりやすいでしょう。
例えば、取引先のA社を分類の基準にするなら、「前年度A社契約見積もり」といった具合です。
そして、ノート名の冒頭の部分に、分類に使う名前の最初の4文字程度を平仮名か片仮名で付けておきます。
先ほどの例なら、「えいしゃ前年度A社契約見積もり」といった具合です。
ファイリング用のノートに保管
名前をつけたノートは、ファイリング専用のノートブックをつくり、そこに保管しておきます。
私は「/90アーカイブ」といった名前のノートブックを作り、そこに、あとは保管しておくだけというノートを、以上のようなルールで見出しをつけて保管しています。
/90の部分は、gtdのワークフローに従って、ノートを管理するために関連するノートブックに付けている、整理のための番号です。
エバーノートでは約3000のノートをファイリングで整理している |
ノートブックを開き、エバーノートの機能で表示順をタイトルのあいうえお順にすれば、見出しにしたがって「あいうえお」順でノートが並び、書類と同じようなファイリングが完成します。
後からノートを探したいときには、tppcのルールに従って、そのノートに関連する人や、団体、話題、プロジェクトなどの場所を数か所チェックすれば、素早くノートを見つけることができます。
ノートが増えたらスタック機能を活用
ファイリング用のノートブックは、ファイリングしたノートが少ないうちは、一つで管理できるでしょう。
多くなってくると、ノートブックを、「あ~な行」用と「は~わ行」用というように分けた方が便利になります。
ノートのタイトルにつけた、見出しのひらがなをもとに、ノートをそれぞれのノートブックに整理します。
私の場合、evernoteのファイリングで3千個近いノートを整理しています。
このため、「アーカイブあ」「アーカイブか」「アーカイブさ」のように、あ~わの各行ごとにノートブックをつくっています。
このように、ノートブックを分けている人は、エバーノートの「スタック」の機能を使うのがおすすめです。
スタックは、複数のノートブックを束ねて、一つのノートブックのように扱うことができる機能です。
先ほどのような行ごとのファイリング用の複数のノートブックを、「ファイリングまとめ」などの名前を付けた一つのスタックで束ねておきます。
スタックにまとめておけば、そのスタックをクリックすれば、スタックの中のすべてのノートを一覧にできます。
また、スタックの中をまとめて検索することができるのも便利です。
例えばスタック名が「ファイリングまとめ」なら、「旅行 stack:ファイリングまとめ」などとすれば、ファイリングしたノート全てから、旅行という単語が入ったノートをすべて検索し、表示させることができます。
tppcのルールで、過去のノートを探したけども見つからないときなどにも、この方法で関連ワードで検索すれば、ノートを見つけ出すことができる、最終手段として利用できます。
また、何かのプロジェクトに取り掛かる際に、関連キーワードで検索すれば、過去のノートからさまざまな情報やアイデアが見つかり、一人でブレーンストーミングをすることができます。
エバーノートの整理がうまくいかない、過去のノートをうまく活用できないと悩んでいる人には、簡単で素早く整理でき、あとから情報を探し出すのも簡単なgtdのファイリングによる方法は、とても役立つはずです。
ファイリングのテクニックの効果は
gtdのファイリングは、どんな資料やデータも、簡単に素早く整理でき、後から取り出す必要が出た時にも、数か所を探すだけで見つけ出すことができる、とても便利で効率的な整理システムです。
シンプルな方法なので、さまざまな分野の資料、エバーノートの資料のようなものにも応用ができます。
机やパソコンのファイルがうまく整理できなくて、資料がごちゃごちゃになってしまうと悩む人や、大事なデータや資料を保管したはずが見つけられなくて困ることがよくあるという人に、ぜひ試してみてほしいテクニックです。
0 件のコメント:
コメントを投稿