現代社会では、仕事や用事の連絡手段として、メールが非常に重要な役割を果たしています。いつでも連絡が取れて便利なEメールですが、毎日、大量に来るメールを整理しきれないという人も多いのではないでしょうか。
gtdの考え方を生かした、メールの整理の方法を実際のやり方とポイントとともに紹介します。
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メールの整理の難しさとは?効率的なメール管理を実現するためには
現代では、Eメールは、仕事でもプライベートでも、非常に重要な連絡手段となっています。
特に、仕事では、業務連絡的なものから、依頼文、さらにはメールマガジン的な情報収集用のものまで、一日に数百件のメールを受け取るという人も多いでしょう。
私自身もそうです。
件数が多いうえ、メールに書かれている内容も、直接的な仕事の依頼で行動が発生するものから、将来的に必要になるから保存しておくべきもの、取り組んでいるプロジェクトやタスクの関連情報としてしばらく保管しておくべきもの、一読すれば用件は終わるものなど、さまざまな内容のものがあります。
このため、メールをどう整理すればよいか、わからないという悩みが起こりがちです。
gtdには、メールを上手に管理できるようになる、ワークフローという考え方があります。
非常に便利なうえに、gtd全体を知らなくてもワークフローの考え方だけでも十分に活用でき、とても役立つ考え方です。
メールの整理がうまくいかない例。「フォルダを作っても…」
メールの整理の方法がうまくいかないと、受信ボックスに大量のメールが残ることになります。
受信ボックスに数十件(人によっては、数百件、数千件)のメールが残っていないでしょうか。
あるいは、大事なメールを保存するフォルダなどをつくっていても、そのフォルダにも大量のメールが整理できないまま入っている、ということになりがちです。
こうなると、メールで依頼されていた仕事が頭から抜け落ち、メール自体も埋もれてしまって、すっかり忘れてしまっていた、ということになってしまいます。
依頼元から「期限がすぎたけど、、、」という問い合わせを受けて、慌てて仕事にとりかかる、といった経験を、メールの整理が分からない人は、すくなからずしているでしょう。
また、大事なメールが受信箱の大量のメールに埋もれていて読んでいなかったり、「あのメールに書いてあった情報を知りたいけど、見つからない」と余計な時間がかかったりもします。
メールは、非常に便利な連絡方法で、相手側にも送信の記録が残る分、関連する仕事をきちんと達成できないと、相手の信頼を大きく損ねる、ということになりかねません。
gtdを生かしたメールの整理の考え方とは?ワークフローを意識しよう
gtdのワークフローの考え方を使ったメールの整理方法では、メール自体をリマインダーや参考情報として使いつつ、管理します。
例えば、仕事を依頼された時などには、そのメール自体に含まれている情報が、メールに返信するときや、関連するタスクを実行する際に、必要になる場合が多くあります。
仕事にとりかかろうと思ったら、まず「メールに書いてあった、データを再確認して、、、」ということはよくあります。
このため、メールをそのまま、タスクのリマインダーや、将来的に使えるかもしれない参考情報として利用する方が効率的なのです。
アレンの著書に書かれたワークフローの考え方とは
ワークフローの考え方は、「はじめてのgtd」の216ページあたりに書かれています。
普段使っているメールソフトに、完了まで2分以上かかる行動が含まれたメールを入れる「@行動」や、他の人からの行動を待っているメールを入れる「@連絡待ち」、取り組んでいるプロジェクトの参考情報に関するメールを入れる「@プロジェクト」とか「@プロジェクトA社」「@プロジェクトB社」といったフォルダを作ることで、メールを整理する考え方です。
メールでの実際のGTDワークフローのやり方は?フォルダの使い方を詳しく解説
私自身は、こうしたアレンのアイデアを応用し、ワークフローを整えるため、メールソフトのフォルダ機能(Gmailならラベル)をつかって、大きく分けて7つのフォルダをつくって整理しています。
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ワークフロー用のフォルダをメールソフトにつくる |
最低限、必要なフォルダは、
0 もともとある、メールを受信する、受信箱
1 後から読み直すメールを入れる、評価
2 メールで依頼された書類をつくるといった、何かの行動が必要なメールを入れる、要行動
3 他人からのメールなどの連絡を待たないと行動を取れないメールを入れる、連絡待ち
4 いまは行動が必要ないが、将来参考にするかも知れない内容が書かれたメールを入れる、プロジェクト
5 いまは必要ないが、将来、必要になるかもしれないメールを入れる、サムデー(いつか)と、
6 資料のフォルダ
7 さいごに、必要なくなったメールを保存するアーカイブ
の7つのフォルダです。
名前は、フォルダの趣旨がわかるものなら、別のものでもかまいまん。
また、プロジェクトのフォルダは、重点的なプロジェクトについては「●●プロジェクト」という特別のフォルダをつくったり、営業先ごとにプロジェクトのフォルダをつくるなど、もっと細かくわけるのも便利です。
私自身の実例でいえば、@3pro資料がプロジェクトの下に黒塗りしてあるのが、日々、管理が必要な重点プロジェクトのフォルダです。
それぞれのフォルダの使い方は
次に、7つのフォルダそれぞれの使い方を書いていきます。
0 受信トレイ
受信トレイはとりあえず、すべてのものがまず入るインボックスです。
受信トレイにあるメールは、最新のものから、一通ずつ見て、行動が必要ないか判断していきます。
1通にかける時間は2分以内にします。
内容に関連して、返信や電話などのやるべきことがあるメールも、その行動が2分以内に終わらせられるなら、済ませてしまいます。
後から返信したり用事をやるためのリマインダーを設定するより、2分以内に終わらることならすぐに済ませるほうが効率的、というgtdの「2分ルール」です。
行動が終わったメール、プロジェクト関連として保管しておく必要もないと判断したメールは、「アーカイブ」のフォルダに移して保存していきます。
インボックスゼロを意識する
インボックスである受信フォルダには、メールを基本的に残しません。
GTDの手法からさまざまな分野に広がった、インボックスゼロの考え方です。
ゼロといっても、まったくゼロにする必要はなく10件以内くらい、スクロールすることなく一画面に受信フォルダに残ったメールがすべて収まるくらいにするよう意識します。
後に書くように、受信フォルダから他のフォルダに移すといっても「メールに書かれた仕事を処理する」必要はありません。
2分ルールで2分以内にすむ仕事は処理したうえで、より長くかかる仕事や複雑なタスクが必要なメールは「のちに行動する」ためのメールとして、それぞれのフォルダに移せばよいのです。
1 行動フォルダ
@1行動のフォルダは後から行動する必要があるメールを入れます。
先ほど書いたように、メールに関連する行動で、2分以内にすむものは受信トレイでみたときにやってしまいます。
2分以上時間がかかりそうなメールは、このフォルダに移し、後から時間があるときに見直して、必要な行動をとります。
2 評価フォルダ
@2評価のフォルダは、後で読みたいものを入れます。
受信箱のメールを見極めている時、長いメールで読むのに時間がかかったり、例えばそこに書いてある内容を実行するかどうか判断が難しそうなメール、といったものは、後で読み返すために「評価」フォルダに移します。
3 連絡待ちフォルダ
@2連絡待ちは、返信したメールへの相手の返信待ちをしているものなど、相手からのアクションを待っているものを入れます。
定期的にこのフォルダをチェックし、相手が締め切りや納期を忘れていそうなメールが無いかなど、確認するためのフォルダです。
4 プロジェクトフォルダ
@3proはプロジェクトのフォルダです。
メールの内容が、当面は行動を要しないが、いずれ見直す必要があるものなど、プロジェクトの関連情報を含むものを入れます。
先ほども書いたように、自分の抱えるプロジェクトに応じてフォルダを細かく分けてもよいでしょう。
「プロジェクト―A社」「プロジェクト―B社」といった形です。
自分も関係している取引先からの依頼に関するメールで、自分では特に行動が必要ない、といったものは、このプロジェクトのフォルダに入れておきます。
何か自分に関連する事項が出たとき、フォルダを開けば、必要なメールをすぐに見つけ出すことができます。
5 資料フォルダ
@4資料は、資料を入れるフォルダです。
備品などのマニュアル、名簿、関係部署の連絡先一覧といったものなど、特に行動もプロジェクトに関する情報も入っていないけれど、後で参照するためにとっておくべきメールを保存します。
6 サムデー
@4サムデーは、いまは手をつけない仕事だけど、将来、取り組むかもしれないことに関する情報など、いつか必要になるかもしれない情報が含まれているメールを入れます。
いわゆる「先送り」ですが、こうして専門のフォルダをつくっておくことで、いずれ取り組めるようになったときに、その仕事に忘れず取り組むためのリマインダーとしてメールを保存しておきます。
7 アーカイブ用フォルダ
目を通したことでもう必要なくなったメールや、2分以内に行動して関連する行動が終わったメールなどは、アーカイブ用のフォルダに移します。
私自身もそうしていますが、アーカイブ用のフォルダは、名前の後ろに「2018年」「2019年」といった名前をつけて、時系列ごとに分類しておくと、後に何か必要になったメールを探すときに役立ちます。
ワークフローのメール管理で気を付ける3つのポイントは?インボックスゼロ、フォルダ分類、週1回のレビューを実践しよう
メールをgtdのワークフローで整理するとき、気を付けるべきポイントを3つほどあげておきます。
インボックス・ゼロを心がける
一つは、インボックスゼロ(受信箱にメールを残さないこと)を心がけることです。
受信箱に日常的に残っているメールは、完全にゼロにしないまでも、数件まで、具体的にはパソコンの画面でスクロールせずに1画面で見られる範囲にとどめます。
受信箱から処理すればよいだけなので、例えば一読してみて内容について判断がつかないメールなら「評価」のフォルダに移しておけばよいのです。
返信に時間が必要なメールは「要行動」に移します。
このようにして、受信箱に読んでいない、あるいは、読んだけど判断を付けていないメールが数十件も溜まっている、という状態を絶対に避けるのが、一つ目のコツです。
ただ、インボックスゼロといっても、常にメールをチェックしていると、今度は逆に仕事の効率性が落ちてしまいます。
朝と晩の2回、あるいは2時間に一度、など、自分の仕事の実態に合わせてメールをチェックする頻度ルールを決めて(なるべく頻度は少なく、が理想です)、その間は受信箱にメールをためておき、チェック時間で一気に処理をしてインボックスゼロにする、ということです。
ワークフローの分類をしっかりする
二つ目の注意点は、ワークフローの分類をしっかりと区別するということです。
先ほどの七つのフォルダのどこに、そのメールが入るのか、しっかり分類しておくことで、後からメールの内容に関するタスクを実行する際の処理のスピードが大きく変わります。
行動が必要な内容に関するメールが、「プロジェクト」に入っていたら、そのタスクは実行されないまま放っておかれてしまいます。
逆に、行動が必要ない参考情報しか書かれていないメールが「要行動」に入っていたら、後から見返した時「どんな行動が必要だっけ?」と考えてしまい、時間とエネルギーを無駄に使ってしまいます。
行動が必要なのか、参考情報か、他の人にまかせた仕事の連絡待ちなのか、など、メールをワークフローのフォルダにきちんと分類しておくことで、仕事の効率性と確実性が、大きく上がります。
週一回はフォルダ全体を見直し整理しなおす
最後に3つ目の注意点は、2つ目の注意点にもかかわることで、週一回など定期的に、メールのワークフローのフォルダ全体を整理することです。gtdの週次レビューの際にやると、スムーズでしょう。
例えば、メールを整理した段階では「要行動」だったメールが、その後に誰かがその仕事をやってくれて、行動が必要なくなった、ということも起こります。
また、整理のときには、参考情報で保管しておけばよかったものが、状況の変化で何かの行動が必要になる場合もあります。
上記の7つのフォルダにあるメールを一つひとつ、丁寧にチェックし、分類が変わっていないか、新しく必要な行動がうまれていないかなどを確認します。
少なくとも週に1回は、このように、メールのワークフロー全体を、最新の状態に更新する作業が必要です。
GTDのワークフローでメールを整理する際のコツは?普段から省力化、効率化を意識しよう
ワークフローでメールを整理する際、大事なことは、整理にいかに時間をかけないか、を意識することです。
整理すること自体は、目的ではありません。
メールを整理して、必要なタスクなどを見極め、実行していくことこそが、目的です。
このため、普段から、いかにメールの管理を省力化、効率化するか、常に意識しておく必要があります。
メールは、現代の連絡手段として、非常に重要で、最初に書いたように膨大な数のメールが押し寄せてくるからです。
よく使う作業をショートカットで覚える
よくやる作業を、メールソフトのショートカットの形で覚えておくことは、便利なコツです。
メールのワークフローによる整理で、もっともよく使う操作は、インボックスでざっと目を通しただけで、やるべきことが終了したメールを、アーカイブ用のフォルダに移す作業です。
毎日100件、数百件来るメールのうち、8割~9割は、そうしたメールでしょう。
私が使うアウトルックの場合、メールの移動は ALT+H+MVがショートカットです。
目を通したらよいだけのメールを、何通かまとめてチェックし、シフトボタンを押しながら矢印でなぞり、メールを指定します。
それをショートカットで、移動を指定してアーカイブに移す、という形で作業します。
この動作に限らず、ですが、メールのチェックのようなよくやる作業は、できるだけマウスを使わずに、キーボードの操作だけで作業を済ませられる流れを作っておくと、作業効率が大幅にアップします。
また、アウトルックには「クイック操作」という、特定の動作に好きなショートカットを割り当てる機能があります。
私は、メールをアーカイブに移動する操作に、Ctrl+Shift+9を割り当てています。
こうした工夫で、膨大なメールのチェック作業を、できるだけスピーディーに、ストレスなく終わらせられるように、しておきます。
効率的なメール管理を実現することの意義は何か?ワークフローの考え方で生産性を向上させる
メールは、相手が都合の良い時に読むことができるうえ、送信元にも記録が残り、非常に便利な連絡手段です。
それだけにCCの同時送信で、多くの人からメールを受けたりして、大量のメールが届くために、処理する方法に悩まされることが多くあります。
その一方、メールで依頼されていた仕事を忘れていたりした場合、相手に送信記録が残っているだけに、仕事上や生活上の信頼を大幅に損ねることになりかねません。
ワークフローは、多くの情報が含まれたメールそのものを、仕事や整理のためのツールとして利用する、gtdの発想による、すばらしい整理法です。
gtd全体を知らなくても活用できます。
大量のメールを素早く整理でき、かつ、そこに含まれた仕事の依頼や、仕事に関する情報を、忘れることなく適切に処理できるので、メールを日々、大量に受け取るという人には、とても便利な仕事術です。
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