gtdの身に付けたい考え方。カレンダーは聖域に

2021/09/17

⑤gtdの身に付けておきたい考え方

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 gtdのタスク管理術には、特徴的なこととして「カレンダーは聖域に」というものがあります。カレンダーを聖域にするのは、それによってタスクの達成効率を上げることができるからです。


カレンダーの使い方から見るgtd




カレンダーを聖域にとはどういうことか

gtdを始める際、間違いがちなのが、カレンダーの管理の考え方です。

アレンの著書「初めてのgtd」では、「カレンダーを聖域に」して、カレンダーに書き込むタスクは、最小限にするとしています。

しかし、todoリストで仕事の管理をするのに慣れている人は、カレンダーにたくさんのタスクを、びっしりと書き込みがちです。

私自身もそうでした。

普通のtodoリストによるタスク管理と、gtdのタスク管理の発想の違いが、よくあらわれるのが、この「カレンダーは聖域に」という考え方です。

カレンダーを聖域に扱うgtd

カレンダーの扱い方でアレンが語っていることは

はじめてのgtd」では、カレンダーの管理の方法について、77ページから80ページあたりで説明しています。

そこでは「カレンダーに『todoリスト』を書き込まない」として、「特定の時間にする行動、特定の日にする行動、特定の日に使える情報」以外は、一切、記入せず「カレンダーは聖域」として使うことを勧めています。


todoリストでの仕事の管理に慣れていると、「できるだけ早くやった方がよいこと」を、「この日あたりにやろうかな」と、カレンダーに書き込んでしまいます。


gtdでは、「できるだけ早くやった方がよいこと」は、要行動リストとして、それだけのリストとして管理します。

カレンダーに書き込むのは、締め切りのあるタスクや、「〇日の〇時にAさんに電話する」といった特定の日時にしかできない行動だけに限定します。

仕事の種類や、業務のやり方にもよるでしょうが、私自身はこのように「カレンダーを聖域に」して、「なるべく早くやるタスク」を書き込まないようにすることで、カレンダーに書き込まれるタスクは最初は10〜20件ほどあったのが、いまは数件、多くても5〜6件ほどに大きく減っています。

この日、どうしてもやらないといけないタスクが、数件なら、それは最優先事項として必ず達成しよう、という動機にもなります。

カレンダーに書き込むタスクは1日数件に



カレンダーにタスクを多く書きこむデメリットは

カレンダーに多くのタスクを書き込んでしまうデメリットを2つ説明します。


やるべきタスクが埋もれてしまう

一つ目は、その日、必ずやらないといけないタスクが、多くのタスクに埋もれてしまうことです。

10数件もカレンダーにタスクのリストが並んでいると、最優先で今日やるべきことが埋もれてしまいます。

目に付いたタスクをこなしているうちに、ふと見ると、今日必ずやらなくてはいけない大切な仕事を後回しにしていたことに気づく、といったことが、起きてしまいます。

後回しになるタスクが生まれる

もう一つのデメリットは、タスクがたくさん並んでいると、とりかかりやすいタスクに取り組んでいるうちに、後回しになって取り組まないままになるタスクが出やすいことです。

実行されなかったタスクは、次の日に先送りされてしまいます。



先ほども書いたように、日付がついたタスクを一日数個まで、最小限にとどめておけば、そのタスクは最優先事項として取り組む動機になります。

他方、必ずしもその日にやる必要がないタスクがずらっと並んでいると、取り組みたくないタスクは、後回しにされ、先送りとなっていきがちです。



カレンダーの実際の管理は

私自身のgtdのタスク管理ツールnozbeの画面では、日付が入ったタスクは多くても1週間で4~5件くらいまでとなっています。


できるだけ早くやりたいことは…


他の「できるだけ早くやりたい」タスクは、カテゴリー(コンテクスト)にわけて管理します。

パソコンを立ち上げていれば、パソコンのカテゴリーがついたタスクをリストから呼び出して、できる限り多くかたづけてしまいます。

電話をかけていれば、電話のカテゴリーを開き、かけられる電話をついでになるべくたくさんかけてしまいます。

カテゴリーは使う道具だけでなく、「仕事のモード」にも応じてつけています。

「ブレーンストーミング」「情報の収集」「情報の整理」など、どんな種類の仕事か、に応じたカテゴリーです。

何かのタスクについて、一人でブレストをして良いアイデアをたくさん出せたら、そのついでに、ブレストが必要な別のタスクについてもブレストを終わらせてしまいます。

「仕事のモード」を切り替えるのには、思った以上に大きなエネルギーを浪費します。

ブレーンストーミングの調子が良いなら、わざわざ仕事のモードを切り替えて「情報の整理」などの別の種類のタスクに取り掛かるより、同じ「ブレーンストーミング」のモードでできるタスクをできるだけ多くこなしてしまった方が、より時間や仕事のエネルギーを効率的に使えます。

カテゴリーによるタスクの管理の詳細は、別の記事に書いています。


gtdと普通のtodoリストの考え方の違い

gtdのカレンダー管理の考え方は、その日に必ず終わらせるタスクに意識を集中させるうえで、とても大事な考え方ですが、慣れないうちは戸惑ってしまうと思います。

その原因は、多くのtodo管理が、タスクに優先度をつけて、優先度の高いものから、こなしていくことを推奨しているからです。

優先度が低い、大したことがない仕事より、先に優先度の高いものをこなそう、という発想です。

このため、優先度が高いタスクのtodoリストを、カレンダーの特定の日付に書き込み、その日に優先的に実行しようとすることになります。

優先度を重視しない

gtdでは、こうしたタスクの優先度という考え方は、ほとんど取りません。

アレンの著書「はじめてのgtd」で「実行するタスク」を選ぶ4つの基準を上げていますが、「その時の状況」「使える時間」「使えるエネルギー」という順番でふさわしいタスクを選んでいき、最後の4番目にようやく基準となるのが「優先度」です。


優先度が低いタスクでも、いまの仕事の状況やモード、使える時間、持っているエネルギーで、効率よく達成できるものは、どんどん前倒してやってしまう、というのが、gtdのタスク管理の考え方なのです。


◇gtdの時間管理の効果は


gtdが、優先度より重視するのが、その時の状況や使える道具、自身の中に残っているエネルギーといった「コンテキスト」です。


例えば、現時点では優先度が高くないタスクでも、「ブレーンストーミング」をやるモードや道具がそろっている状況で、いま取り掛かれば45分で終わるとします。

しかし、もし来週、そのブレインストーミングの締め切りが近づいてやる時には、コンテキストが揃っておらず、1時間かかるかもしれません。

優先度が比較でも、コンテキストが揃っている仕事を先に済ませた方が、トータルとしての時間はより効率的に使えるのです。

仕事のモードで効率性を生む



こうした時間管理の発想が、gtdの考え方を理解するうえで大切です。

今日やることに優先度をつけて管理するよりも、カテゴリー(コンテキスト)ごとのリストによって、「いまできること」を、できるだけ早くこなしていく方が、タスクの達成が早く進むという考え方です。



todoリストで仕事を管理しているけれども、なかなか仕事の効率があがらないとか、やるべきタスクがなかなか達成できず、自分の時間も持てない、と悩んでいる人も多くいると思います。

gtdのタスク管理の発想を学ぶことで、「カレンダーを聖域に」して、その日、必ず達成すべきことを必ずやるとともに、「できるだけ早く」やるものを次々とこなしていき、効率性をあげる方法を知ることができます。

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