gtdの整理のステップの実際と注意点。タスクや書類を効率的に管理する

2021/09/17

③gtdの5つのステップ

t f B! P L

整理は、gtdの3つめのステップで、ステップ2の見極めの結果に応じて、「気になるもの」たちを、あるべきところに整理していきます。書類やメールなどがきちんと整理できるようになることで、机や棚、パソコンのなかなどが、ごちゃごちゃ片付かない人も、すっきりと整理できるようになります。



gtdの「整理」で机もスッキリと


gtdでタスクを整理する。アレンのワークフローでの「整理」のステップとは

整理のステップでは、インボックスに集めた、さまざまな「気になるもの」を、それぞれに相応しい場所に整理していきます。
行動が必要な「気になるもの」には、見極めのステップで見出した「次の具体的な行動」に応じて、後からその行動を思い出して実行するためのリマインダーをつけます。
また、行動が必要ないものについては、参考資料としてファイリングしたり、資料や備品としてしかるべき形で保管するなど、あるべきところに整理します。
これにより、書類やメール、さまざまな情報などの管理の仕方がわかり、机や棚がいつもグチャグチャになってしまう人も、それを解消できるようになります。

集めた「気になること」を、あるべき場所で管理する

見極めと整理を行うと、以下のワークフローに従って、「気になるもの」たちが、8種類に分類されていきます。

gtdの整理の流れ


8種類のものとは
・ゴミ(行動も、保管も必要ないもの)
・いつかやる、たぶんやるものリスト(今は行動しないが、いずれ行動するかもしれないもの)
・資料(行動は必要ないが、保管しておくべきもの)
・プロジェクトリストとプロジェクトの参考資料(行動は必要ないが、何かの行動のための参考資料としてとっておくべきもの)
・2分以内で行動できるもの(他人に任せたり、後からにまわすより、すぐにやってしまった方が早いもの)
・連絡待ちリスト(行動を他人にまかせたもの)
・カレンダー(自分で行動するもので、その行動が特定の日にやるもの)
・次に取るべき行動リスト(自分で行動するもので、時間や余裕があればできるだけ早くやるもの)
の8種類です。

この見極めた結果に応じて、あるべきところにものを整理したり、後の行動のために必要なリマインダーなどをつけていきます。

見極めと整理は、同時並行で行うステップ


実は、この説明は「初めてのGTD」での説明と、少し異なります。
同書では、「見極め」のステップをすることで、「気になること」が8つの種類に分類され、「整理」のステップでそれに応じて必要なリマインダーをつける、というように、二つのステップを説明しているからです。
ただ、実際の過程では、二つのステップは、ほぼ一体で行う場合がほとんどです。
ですので、このサイトの説明では、「見極め」のステップでは、「次の行動」と「あるべき姿」の二つを見極め、「整理」のステップでその見極めた行動に応じて、「気になること」を8つに分類していくとともに、必要なリマインダーをつけて整理をする、という説明の仕方にしました。
この方が、実際のgtdでの見極めと整理のステップのやり方に近いためです。
アレンの説明とずれるところがありますが、実際の過程では同じ流れになります。


整理の実際の進め方。行動が必要ないものと次の行動が必要なもの、それぞれの整理の方法


実際の「整理」のステップは、以下のように進めます。
まず、見極めのステップで、「気になること」について、「あるべき姿」と「次の行動」をきちんと見極めることが大切です。

さて、見極めた結果、「次の行動」が必要ないなら、それは「ゴミ」か「いつかやるリスト」か「資料」へと分類されます。

「行動が必要ないもの」の整理の方法


それぞれ簡単に説明します。

・「ゴミ」は、一度目を通せば、もう廃棄するだけでよいものたちです。文字通りの、ゴミです。

・「いつかやるリスト」に入るのは、いまは、行動することはないけど、そのうち取り組むかもしれない、そのための備忘録としてリストを残しておくというものたちです。「資金に余裕ができたら取り組みたい事業計画」や「いずれやってみたい勉強」「始めてみたい趣味」「4か月後にあるイベントで日程が近付かないと参加できるかわからないもの」といったものたちです。

・「資料」は、例えば、「電話帳」「名簿」「カタログ」「説明書」といったものたちです。廃棄はできないし、行動も必要ではないけれど、いつか参考にする必要があるもので、それぞれに応じた場所に保管しておきます。

以上で、行動が必要のないものの整理が終わりました。

「次の行動が必要なもの」の整理の方法


ワークフローの次に移ります。
今度は「次の行動」が必要なものです。
それらはまず、「次に取るべき行動」を一つだけ行えば「あるべき姿」が達成させるのか、それとも複数の行動を積み重ねないと「あるべき姿」に到達できないのかを考えます。

複数の行動が必要な「あるべき姿」については、gtdでは「プロジェクト」として扱います。
複数の行動が必要なプロジェクトについては、プロジェクトリストというリストを作って、その「あるべき姿」がわかる名前を書いておきます。
「あるべき姿」が一つの行動で達成される場合も、複数の行動が必要な場合も、続いてワークフローの次のステップに進みます。

また、「気になるもの」の中には、複数の行動が必要なプロジェクトに関する、詳細をまとめた計画文書や、関連のファイル、メールなど、関連の資料、さらには「こんなことをやったら」というアイデアのメモなどがあるはずです。
それらは、プロジェクトの関連資料として、プロジェクトごとに分けた資料として保管しておきます。
これについては、gtdのファイリングなどのテクニックを使うと便利ですが、それは別の記事で説明します。

2分以内でできる行動は済ませてしまう


一つの行動で「あるべき姿」が達成される場合も、複数必要な場合も、ワークフローの次のステップで考えるのは、「次に取るべき行動」が2分以内に済むかどうかです。
2分以内でできる行動は、いますぐやってしまいます。
gtdの2分ルールと呼ばれるテクニックで、これを意識するだけでも、あなたの仕事の効率性は大きくアップするはずです。
2分以内ですむ行動は、すぐに済ませてしまうのは、他人に任せるためのメールや電話をしたり、自分が後に行動するためのリマインダーをつけるよりも、2分以内の行動で済むならやってしまった方が早いからです。
「あるべき姿」が一つの行動で達成できるものなら、2分以内で行動を済ませたら、それで達成できます。
複数の行動が必要な「プロジェクト」なら、2分以内で達成した後、次の行動が必要になるはずです。
それも2分以内で済むなら、やってしまいます。
2分以上かかる行動なら、ワークフローの次に進みます。

その行動を自分でやるべきか他人に任せるか


次のワークフローでは、2分以上かかる行動について、「自分でやるべき」かを考えます。
同僚や部下、あるいは上司など、他人にやってもらう方がよい行動なら、その依頼をします。
依頼した行動は、依頼したことを忘れないよう、「連絡待ちリスト」に、依頼先と内容をまとめておきます。

特定の日付にやるべき行動か


ワークフローの次に進みます。
2分以上かかり、かつ、自分でやるべき行動について、その行動が「特定の日付にやる」ものかを考えます。
ある日付の会議でやるべき行動や、ある日にやるよう依頼されている行動などが、これにあたります。
それらは、カレンダーに書き込んでおきます。

次に取るべき行動リストをまとめる


ワークフローの最後です。
2分以上かかり、自分でやるもので、また特定の日にやる必要がない行動が残ります。
行動が必要な「気になること」としては、これが一番多くあるでしょう。
それらは、「次に取るべき行動リスト」にまとめます。
このリストに載っている行動は、時間やエネルギー、条件があれば、いつでもなるべく早く済ませておきたい行動、ということになります。

以上で、整理のステップは終わりです。
大事なことは、上記のワークフローにしたがって、それぞれの「気になること」をきちんと区別するです。
本当は行動が必要な「気になること」を「資料」に分類してしまったら、その必要な行動は実行されないまま、放っておかれてしまいます。
逆に、行動の必要がない資料に関する名前が「行動リスト」に入っていたら、「この資料について、何か行動が必要だっけ?」と考えてしまい、貴重な時間が無駄になります。
ワークフローに従い、きちんと分類することで、あなたの時間や、エネルギーを最大限、効率的に利用するための準備ができ、さまざまな仕事を素早く、効率的にこなせるようになるのです。


なぜgtdで整理できるようになるのか。書類が山積みになってしまう理由をなくす

gtdの整理のテクニックは、机や棚などに、ごちゃごちゃとした書類が山積みになってしまうというような人に、特に効果的です。

書類などが整理できない大きな理由は、実は、書類が整理できないから、ではなく、その書類を「やらなくてはいけない仕事」や「重要なタスク」のリマインダーにしようとするから、という場合がよくあります。

タスクの管理が整理の鍵



例えば、誰かから、「この資料をもとに、文書をまとめて」と参考資料を渡されたとします。
大事な仕事で、忘れてはいけない、と思ったあなたは、「絶対に忘れないよう、目立つ場所に、この資料を置いておこう」と思います。
机や棚の(往々にして、すでに書類が高く積んである)書類置き場の一番上に、その書類を置きます。

書類をリマインダーにしない


書類をやるべき仕事のリマインダーにすることで安心しても、こうした仕事に関する資料や、依頼内容を記した書面などは、次から次へとあなたのもとにやって来ます。
「この仕事も大事だ」と、先ほどの資料の上に、あなたは新たな書類を置きます。
こうして繰り返しているうちに、あなたの机や棚の空きスペースには、処理されていない仕事に関する書類が、どんどん積み上がっていくことになります。

よくある山積みの書類は、それらの書類を仕事のリマインダーにしていることに、大きな原因があるのです。
結果は、多くの場合、悲劇的でしょう。
山と積まれた書類のなかに、大事な仕事に関する資料が埋もれてしまいます。
「あの仕事、どうなった?」という依頼者からの問い合わせで、何も手を付けていない仕事のことを思い出して、大慌てで書類の山をひっくり返して、資料探しを始める、そんな体験は多くの人が何度か(何度も?)経験しているはずです。

こう振り返ってみると、書類が整理できない原因は、この場合、書類の整理の能力ではなく、仕事やタスクを思い出すためのリマインダーの設定の仕方がわかっていないことにあります。

依頼された仕事や、期限までに仕上げないといけないタスクについて、必ず思い出せるリマインダーがあれば、関連する資料や書類は、分類して書類棚の一番奥に置いておいても、まったく問題ないからです。


gtdの整理術で、タスクのリマインダーを効率的に整理する

では、やらないといけない仕事やタスクのリマインダーを、どう整理するのがよいでしょうか。
おすすめは、nozbeなどのgtd用のタスク管理の専門アプリを使うことです。

nozbeをはじめ、gtd用に開発されているアプリでは、タスクの整理のさまざまな手間が自動化され、また、必要なタスクをきちんと思い出せるよう、設計にもいろいろな工夫がされており、非常に便利です。

たとえば、nozbeでタスクを管理する場合は、見極めと整理のステップを一体で行うことができ、実行のステップで必要なさまざまなリストが、自動で作成されます。
gtdの管理が自動化されることで、とても楽になります。

タスク管理アプリnozbeにおける整理の具体例

nozbeにおける、整理のステップを、見極めで例に出した、「A社からのメール」という気になることで見てみます。

「A社からのメール」という気になることを、見極めた結果、あるべき姿は「A社からの契約を取ること」、次に取るべき行動は「技術部門へのデータの問い合わせ」でした。

見極めのステップでは、あるべき姿に応じたプロジェクトを設定し、気になることを取るべき行動に合わせて書き換えるところまで、行いました。

見極めが終わった画面



次に、行うのは、「カテゴリー」や「必要時間」などのnozbeの機能を使って、取るべき行動をより具体的に定義することです。

カテゴリーの使い方。あいまいな仕事を定義する


まず、カテゴリーですが、詳細は別記事で解説しますが、カテゴリーはそのタスクをやる場所や、方法、タスクの種類などに応じて設定します。

例えば、仕事場〈オフィス)でやるタスクなのか、家でやるタスクなのか、買い物など外出時にやるタスクなのか、あるいは、スマホなどを使ってどこでもやれるタスクなのか、といったことを、office、home、shopping、anywhereなどのカテゴリーを作っておき設定します(カテゴリー名は日本語でも、もちろんかまいません)。

タスクを実行する方法としては、パソコン、メール、紙とペン、インターネット、スマホなどが考えられます。

タスクの種類は、ブレーンストーミング、打ち合わせ、書類作成、情報収集、情報整理などがあります。

先の「技術部門へのデータの問い合わせ」なら、実行する場所は「オフィス」、方法は「メール」、種類は「書類作成」でしょうか。

それに応じたカテゴリーをつけます。
カテゴリーをつけたところ



カテゴリーを付けることで、「問い合わせ」といっても、メールでやるのか、電話なのか、など、より具体的にタスクを定義することができます。

例えば、メールで問い合わせ書類を作成すればよいと思っていたタスクが、カテゴリーを考えているうちに、「そういえば、メールに記載すべき、〇〇のデータがないと、メールを書けないな」と気づき、実行するべきタスクが「過去の書類から、〇〇のデータを探す」に変わる、といったことも、よくあります。

タスクを具体的に定義することで、「取るべき行動」が何なのか、より鮮明になり、最も効率的に、時間や労力の無駄をすることなく、タスクを実行できるようになるのです。
これは、nozbeとgtdのタスク管理の大きなメリットです。

必要時間や日付機能の使い方。タスクを忘れない


必要時間や、実行する日付など、その他の機能も設定し、自分がするべき行動ならば、要行動リストにタスクが並ぶように星マークを設定して、nozbeによる整理のステップは終了です。

整理が終わった画面



タスクにこのように、カテゴリーや要行動の星マークをつけておくことで、例えばパソコンでメールを作成しているときに、「メール」のカテゴリーを開けば、ついでに作ってしまうとよい、メール作成のタスクを、必要に応じて、思い出すことができます。

タスクを忘れなくなるうえ、自分が今いる場所や、パソコンやスマホなど使える手段に応じて、もっとも効率よく実行できるタスクを、分類して取り出すことができるようになります。
限られた時間や、自分のエネルギー、持っている手段で、もっとも早く、多くのタスクを達成できるようになり、あなたの仕事の効率性が大きく向上します。


整理の効果で、タスクを忘れない人になる

先ほど書いたように、整理ができない人の大きな原因は、書類などの整理の仕方が分からないから、ではなく、その書類に関連するタスクなどを必要に応じて思い出せよう、タスクを管理するシステムが機能していないことにあります。

書類のチェックを依頼されたとき、「この書類をチェックして、必要な書き換えを指示する」というタスクを、時間が空いたときにきちんと思い出すことができるなら、その書類自体は、書類棚の奥にあいうえお順でファイリングして入れておいても、何の問題もないからです。
そのタスク管理のシステムがない人は、机の上の目立つところにその書類を置いておき、同様のタスクに関連する書類が来るたびに、新たな書類が積みあがっていき、整理されていない(タスク自体も忘れてしまった)書類が、山積みになってしまう、ということになりがちです。

gtdの整理術を身につけると、整理がしっかりできるだけではなく、依頼された仕事もきちんとこなせるようになり、周囲の人たちの、あなたへの評価も大きく高まるでしょう。
書類が整理できない、必要なタスクを忘れてしまう、そんな悩みを抱えている人には、gtdの整理術は、特におすすめです。


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