「把握」はgtdの5つのステップの一つ目、gtdの出発点となるステップです。
インボックスに「気になること」をすべて集めることで、「気になること」から頭脳を解放します。
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gtdにおける「気になること」とは。「あるべき状態にないもの」すべてを把握する
gtdにおける「気になること」は、あなたがやるべきだと思って手を付けていないこと、思いついたままほったらかされているアイデア、調子が悪いけど放置されている備品など、「あるべき状態にないもの」すべてです。
アレンの本「はじめてのgtd」では、61ページでこう書いています。
「実のところ、『気になること』の多くは、本書を読んでいる間にも自然に集まってきているはずだ。自宅には小包や封書が届いているだろうし、職場ではそれらに加え、仕事上のメールも次々と舞い込んできているはずだ。それだけではない。何とかしなくては、、と思っている、もやもやとしたものが頭の中にたまり続けている。これらはメールのようにはっきりとした実体を持たないが、何らかの解決を必要としている『気になること』であるはずだ。また、数々のアイデアが書かれたノートやメモもあるだろうし、引き出しの中には修理するか捨てるかしないとけない雑多なものが眠っているだろう。これらのすべてがあなたにとっての『気になること』になっているのである」
物理的な書類や備品、メモ、メールなどの電子データ、頭の中の考え、、、。
それらすべてが、「あるべき状態」にないなら、あなたにとっての「気になること」として頭脳に残り続けます。
頭脳を記憶(気になること)の保持ではなく、アイデアの創造や物事の処理に使うのが、gtdの目指すところです。
頭の中にある気になることをすべて、外部に出し、集めるのが把握のステップです。
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どのように把握をやるか~gtdのインボックスの概要と、二種類の把握
実際のgtdでは、把握は、二種類あります。
最初の導入の時や週次レビューのときに「気になること」をまとめて収集する把握と、日々の仕事や生活のなかでふと浮かんだ「気になること」をこまめに集める把握、の二種類です。
どちらも、やり方としては、収集用の「インボックス」に、気になることを集め、「あるべき状態にないもの」をすべて放り込んでいく、という点では同じです。
インボックスとは~日常的に主に使うインボックスは3種類
インボックスは「気になること」を集める収集箱のことです。
頭の中にある「気になること」や、処理すべき書類、メールなどを、すべて集め、「見極め」「整理」というgtdの次のステップにつなげるための、収集箱です。
書類用、メール用、アイデア用など、インボックスは必要に応じて何種類か作りますが、なるべく少ない方がレビューなどの際にチェックする場所が少なくなるので良いでしょう。
まず、最初のgtdの導入の際には、机や棚に放置されていた大量の書類、あるべき状態にない備品などをインボックスに収集する必要があるため、床の一カ所をインボックスにします。
それでも大きすぎてインボックスに置けないものや、動かすのが難しい備品などは、紙にその名前を書いてインボックスに置くか、アイデアを入れるインボックス(gtdアプリのnozbeのインボックスなど)にそのモノの名前を書くと良いでしょう。
そのほかのインボックスは、日常でも使うことになります。
以下の三種類のインボックスは、多くの人にとって必要になるでしょう。
①書類のインボックスは、三段トレーの一番上の段になります。
三段トレーの使い方については別の記事で説明します。
ただ、書類の中には、プライバシーやセキュリティの関係上、他人の目につくところにおいて置けないものもあります。
それら用に、色つきのクリアファイルを一つ、書類のインボックスに使います。
引き出しの中などに入れておき、インボックスとして使います。
要行動やプロジェクトなどのクリアファイルも別の色で用意します。
色付きのファイルを使うのは、ファイリングに使う透明のファイルと、gtdのシステム用のファイルを区別するためです。
②nozbeのようなタスク管理用のアプリのインボックスを、アイデアや頭の中の気になることの収集用のインボックスとして使います。
③gmailやヤフーメール、アウトルックなど、使っているメールの受信トレイもインボックスです。
gtdのような管理法を確立していなければ、受信トレイに何百、何千のメールがあるという人もいるでしょう。
それらをgtdのシステムで処理していきます。
私にとってのインボックスはこのほか、evernoteに作ってある「未整理」という名のノートブックくらいです。
「最初の収集」での把握の仕方は~スペースを決めてすべてのものを移す
最初の把握の時は、机や棚に読まずに放置してある、あるいは一度読んで処理しないままになっている大量の書類があることでしょう。
それらを一つひとつざっと見て、もうゴミになっているならゴミをためるスペースに捨てます(ゴミも、大量に出るので、ゴミ箱ではなく、床の一角をゴミ用のスペースとして確保しておきます)。
情報が古かったり、期限が過ぎていたりと、すでにゴミとなっている書類が、大量にあるはずです。
ざっと目を通し、何か気になることがある書類なら、すべてインボックスに入れておきます。
インボックスに入れすぎて困るということはないので、少しでも気になることがあるなら、ゴミ箱ではなく、インボックスに移しておくのがおすすめです。
たまっている書類には、いまは必要ないけども将来的に必要になるものや、住所録や説明書といった資料など、その書類を保管すればよいだけのものも多くあります。
それらの、保管場所が決まっているなら、そこに置きます。
それらの書類は、「あるべきところに整理された書類」となり「気になること」ではなくなります。
保管場所が決まっていないなら、それらはインボックスに置いておき、見極め、整理の段階で保管場所を決めることになります。
大切なことは、書類を読んで「この電話かけるのを忘れていた」など、気づくことがあっても、それがよほど緊急で、どうしても今すぐやらないといけない場合以外は、その場では処理しないことです。
把握する過程をすべて実行し、インボックスの全体像を把握することに、まず力を注いだ方がよいからです。
こうして、すべての雑然とした書類を、ゴミとインボックス、「あるべきところに整理されている書類」の三種に分けていきます。
すべて分け終わったら、書類についての最初の把握は終了です。
「日々の収集」での把握の仕方は~大切な2分ルール
把握の二種類目である、日々の仕事や生活の中での把握では、手元に送り届けられた書類については以下のように処理します。
書類をざっと見て、2分以内に処理できるものなら処理してしまいます。
例えば、2分以内で内容を読んで、頭に入れたり、ノートなどにメモをとれば済むなら読んでしまいます。
また、書類の内容についてどこかに電話したり、書き写したり、書類に書き込みをしたりといった作業が必要で、2分以内に済むなら、それもやってしまいます。
書類用のインボックスに入れるのは、なにか行動が必要で、それが2分以上の時間がかかりそうなものたち、あるいはざっと見て、内容や自分がとるべき行動がわからないため後からじっくり読みかえす書類です。
これらは、とりあえずインボックスに入れておき、後から見極め、整理して必要なリマインダーなどを設定します。
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・gtdの把握のステップの実際と注意点。「気になること」から脳を解放する
メールの把握のやり方は~gtdのワークフローを整えておく
メールの処理も、考え方は、書類と一緒です。
最初の収集では、受信トレイなどにある、大量のメールを見て、必要ないものはどんどん削除するか、アーカイブに移します。
気になることが書かれていそうなものは、そのまま受信トレイに残しておき、後で見極め、整理します。
日々の把握では、常にメールをチェックするのではなく、メールの確認は一日のうち何度か決めた時間に、など、自分なりのルールをつくれっておきます。
常にメールをチェックするようにしていると、メールのことが気になって集中力が落ちてしまうからです。
メールをチェックして、2分以内で処理できるメールは、受信を確認した時点で処理してしまいます。
2分以上、処理にかかりそうな書類は、そのまま受信箱に置いておき後で処理するか、次に書くワークフローの流れで処理します。
メールの処理には、最初の把握でも、日常の把握でも、ワークフローを整えておいた方がよいでしょう。
ワークフローの詳細は、別記事で説明しますが、大ざっぱに言えば、いくつかのフォルダをつくって、受信したメールを振り分けて処理する考え方です。
メールをざっと見て返信などの行動(2分間以上かかる行動)が必要そうなら、要行動のフォルダに移しておきます。
内容を把握するために2分以上かかりそうなメールは、評価のフォルダに移しておきます。
資料として取っておきたいメールは資料のフォルダに移します。
ざっと見て内容を把握し、もう必要ないと判断した大量のメールが、アーカイブに移ります。
相手からの依頼内容や、相手の連絡先など、さまざまな情報を含んでいるメール自体を、行動や評価などをするためのリマインダーとして使うのが、ワークフローの考え方です。
ワークフローにより、メールをスピーディーに処理できるようになります。
多くのメールは受信した時点でワークフローによって処理できるでしょうが、もし行動が必要なのか、評価するのか、など、判断がつかないメールがあれば、無理せずそのまま受信トレイに残しておき、後で時間のある時に、見極め、整理します。
頭の中の気になることの把握は~思いついたことはすぐに収集することを習慣に
頭の中にある「気になること」の把握も、大切です。
最初の把握では、頭の中にある大量の「気になること」の把握が必要です。
気になることの多くは、タスクとして、今後、処理することになるので、nozbeなどのgtdのタスク管理アプリのインボックスを開き、思いついたものをどんどん書き込んでいくのがおすすめです。
「初めてのgtd」の167ページ~174ページにある、トリガーリストも使って、生活や仕事のあらゆる分野について「気になること」を絞り出していきます。
私自身の最初の「把握」のステップでは、234個の「気になること」を書き出しました。
日々の把握では、頭の中に「気になること」が浮かんだら、すぐに何かの形で収集してしまうことを、習慣化することが大切です。
この点では、スマホが普及して、nozbeなどのアプリをすぐに開けるようになったのは、とても便利です。
たいていの場所で、スマホは持っているので、ふと何かのアイデアや「やらないといけないこと」などが浮かんだら、すぐにアプリからnozbeに登録します。
頭のなかの記憶に「気になること」をとどめない、という習慣が身につくと、「こんなにも、頭がすっきりして、集中力が高まるのか」と驚くことでしょう。
仕事の環境などにより、手元にスマホがない時などには、とりあえず紙のメモに「気になること」を書いておき、それを書類用のインボックスに入れておきます。
週次レビューの時に必ず見返すノートを決めておき、nozbeに登録できない状況で何か「気になること」が浮かんだら、必ず書き込むというやり方でもよいでしょう。
いずれにしろ、大切なのは、「気になること」を思いついたら、すぐに何らかのインボックスに入れられる仕組みを、自分の周囲のあらゆる環境の下で保っておくことです。
最初の把握には、かかる時間と、やり方のコツ
gtdの最初のステップである把握では、書類やメール、ノート、手紙、手帳、財布、頭の中、パソコンの中の様々なファイル、スマホのさまざまなデータなど、自分の身の回りのすべてのものについて「気になること」が眠っていないか、チェックしていきます。
最初の把握には、どんなに短くても、数時間が必要です。
自分の場合、就業時間後に深夜まで作業できる日を数日間、確保してgtdを導入し、把握のステップだけで2日間以上が必要でした。
大変なステップですが、「すべての気になること」が把握できた時、頭の中にかかっているモヤが晴れていくような、今まで味わったことのないような、すっきりとした感覚を味わえるはずです。
最初の把握のコツは?~収集しすぎ、ということはない
最初の把握では、身の回りにあるすべてを、徹底的に「気になること」がないか、見直すことが大切です。
見落とした場所があり、「気になること」がどこかに残っているかも、という不安があると、先ほど書いたような、頭の中のモヤが残り続け、gtdの効果が半減してしまいます。
先ほど書いた「初めてのgtd」のトリガーリストも使って、仕事、日常、地域の関係、家族など、すべての分野にわたって徹底的に「気になること」を書き出し、大きなことも小さなこともすべてをgtdのシステムに乗せてしまうことが重要です。
gtdの把握で、「収集しすぎ」ということは決してありません。
少しでも気になることがあれば、インボックスに入れていきます。
日常での把握で心がけることは?インボックスの大切さと、メールの管理方法
日常での把握でも、何か頭にひっかかること、ふと浮かんだことがあったらとりあえず、インボックスに入れることが大切です。
収集してみたものの、見直してみて「くだらないアイデアだ」とか「必要ない情報だ」と思ったなら、あとから削除すればよいだけです。
何か頭に浮かんだら、nozbeのインボックスに入れるか、紙に書いて書類用のインボックスである三段トレーの一番上のトレーに入れておきます。
メールの把握は、時間を決めて
メールについては、先ほども書いたように、一日に何度か(どれくらいの頻度でメールをチェックする必要があるかに応じて)時間を決めてチェックする習慣を持つ方が良いでしょう。
つい、四六時中、メールの送受信をクリックしてしまいがちですが、メールを触らないと決めた時間はメールのことは頭から追い出し、自分の仕事に集中します。
また、受診してざっとチェックした後に、受信トレイにあるメールは、一画面以下にとどめるよう心がけます。
スクロールしないと受信トレイにあるメールがすべて見られないなら、gtdがうまく機能していない可能性があります。
返信が必要なメールにすべて返信するということではありません。
返信が必要なメールはワークフローの「要行動」トレイに移しておけば、後から処理できます。
あとからじっくり読まないと内容についての行動が決まらない(評価のフォルダに移すかどうかもよくわからない)メールなどを除いて、必要なメールはgtdのワークフローに乗せてしまう、ということです。
把握の効果は~gtdで「気になること」のストレスから解放される
「気になること」を常にインボックスに収集し、gtdのシステムに乗せてしまうという習慣が身につけば、脳が「記憶の保持」から解放され、本来の集中力や、処理能力を発揮できるようになります。
頭の中がスッキリとして、「気になること」が頭の中に残り続けていることが、どんなにストレスが大きいのか、実感できるでしょう。
頭の中のモヤが晴れていくような爽快感は、gtdならではのものです。
脳が、本来の仕事である「気になること」の処理(保持ではなく)に集中できることで、仕事を効率的にどんどんこなせるようになり、忙しい毎日の中でも、自分の時間を取り戻せるようになります。
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