仕事が終わらない毎日に対処するための、gtdのポイント

2021/09/18

⑦こんなときにgtd

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「やるべき仕事が終わらない」、「忙しくて毎日やり残したことだらけ」、そんな悩みを抱えながら毎日を過ごしているときの、gtdのポイントは―。


gtdで終わらない仕事に対処する


なぜ仕事が終わらないのか

毎日、仕事に追われているのに、やるべき仕事が終わらない、そんな悩みを多くの人が抱えています。

なぜ、仕事が終わらないのか―その一つの原因は、現代における仕事の性質の変化です。

はじめてのgtd」では、畑を耕したり、製品を組み立てたり、モノを運ぶといった、仕事の達成が分かりやすかったかつての仕事に対して、現代の仕事は「プロジェクトの多くには、はっきりとした『終わり』がない。しかも、ほとんどの人は、やるえきことや改善したいことを同時にいくつも抱えている」(29ページ)と書いています。


さらに、現代は、仕事の内容や環境が常に変化するようになり、また、24時間いつでもどこでも世界中の情報に接することができる状態になっています。

これらの条件も、さらに「仕事が終わらない」状況を強めています。


終わらない仕事に追われている現代人は、いつも「気になること」が頭を占め、やったら良いこと、やらなくてはいけないこと、やってみたいこと、さまざまなものが頭の中に混在し、ストレスを抱えた状態になっていることが、多くあります。



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タスクを終わらせる上では、どういうことが起きるか

「はっきりとした終わりがない」プロジェクトや、「終わりがわかりにくい」仕事が増える中で、私たちの頭の中が、さまざまな「気になること」で占められてるような状態になっています。

その結果、逆説的にも「行動がわからないから、行動が終わらない」ということが起きてしまいます。


はじめてのgtd」には、興味深い例が書かれています。

アレンが、あるクライアントと、気になることリストを見ていたときに「タイヤ」と会った時の話です(338ページ)。


「私が『これは何ですか』と尋ねると、クライアントは「車のタイヤを替えないといけないのです」と答える。次に私は、『具体的に、次にやる行動は何でしょう?』と聞く。すると、クライアントは眉間にしわを寄せて考えはじめ、ほどなくこんな結論を述べる。『インターネットで調べて値段を確認しておくことですね』。

タイヤのことは、しばらく前から気になっていた可能性が高い。別の用事でパソコンを使うついでに値段を確認する機会も無数にあったはすだ。なぜそれをやらなかったのか。パソコンの前にいるときに、タイヤを替えるのにパソコンが必要だと思い浮かばなかったからである」


この例でも、タイヤを買うことは、以前からクライアントの頭のなかにあった「気になること」です。

そのために、すぐに取れる行動として何をやる必要があるかといえば、インターネットで値段を調べることでした。

その価格がいくらかがわかれば、高すぎるなら別の方法を考えるとか、安いならすぐに注文してしまうなど、その次の行動が出てくるからです。


クライアントは、この一週間の間でも、パソコンの前に、これまで、何度も座ったことがあるはずです。

しかし、パソコンを使って、タイヤの値段を調べておくという、ごく短時間で簡単に終わる作業を思いつきませんでした。

行動の選択肢を考えておくことが大切

では、「気になること」を終わらせるために、何が必要だったのでしょうか。

続けて引用します。



「だからこそ、あらかじめ行動の選択肢を考えておくべきだったのだ。次に取るべき行動をすべてリストにしてあれば、会議まであと15分あって、なおかつコンピュータが目の前にあり、エネルギーが10点満点で4点のときに、行動のリストに『タイヤのことを調べる』という項目を見つけることができたはずだ。『これならやってしまえる』とインターネットでさっと調べたあとに、使える時間とエネルギーを有効活用できたという満足感に浸れたに違いない。……こうして彼は後日タイヤを交換し、気分よく車を運転できたはずだ」


仕事を終わらせるためには、行動の選択肢を具体的に考えておく、この作業がとても大切なのです。

行動の選択肢を考えたからと言って、すぐに具体的な行動をとる必要はありません。

どんなに時間がなくても、「タイヤを買うには、何をしなくてはいけないだろう」と考えて、「値段を調べることだ」と選択肢を定めることくらいはできます。


あとは、それを、コンピューターが前にあるときにできる行動のリストに入れておくだけです。

行動の選択肢を考えておく


先ほどの例にもあるように、このクライアントも、この1週間に、15分ほどくらいなら、会議の前に時間が空いたときがあったでしょう。

そういう時に、リストを見直して、「タイヤの値段を調べる」というタスクが書いてあれば、空き時間に実行してしまえたはずです。

その時間を、タイヤの値段を調べるという行動で使えなかったのは、この「行動のリスト」がなかったため、それだけです。

行動がわかっていないから行動が終わらない、というジレンマ

やや長い引用になりましたが、gtdのタスク管理が何を目指しているのか、なぜ、生産性を向上させる手法として世界的人気があるのか、よくわかる一節ではないでしょうか。 


「行動が分かっていないから、行動が終わらない」―そんな逆説をなくすために、「事前に行動を考えて、ふさわしい時に思い出せるように整理しておく」という「ひと手間」が、とても大切なのです。



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終わらない仕事に、どんな対処が必要か

「事前に行動を考えて、ふさわしい時に思い出せるように整理しておく」―それが、gtdの5つのステップのうち2つめの「見極め」と、3つ目の「整理」のステップです。

見極めの詳細整理の詳細については、それぞれの記事で書いています。


頭の中にある「気になること」を、gtdのタスク管理アプリであるnozbeなどのようなシステムで、収集、見極め、整理し、達成のために何が必要か、行動というレベルまで、落とし込んでおくことが大切なのです。


行動レベルまで、事前に落とし込んでおかなければ、必要な行動を必要なときに取ることができません。

 「『次にとるべき行動』を決めるには、余分なエネルギーを使わないといけないと思っている人がいるかもしれない。しかしそれは間違いである。こうしたエネルギーは遅かれ早かれ、いずれ使うことになるからだ。……

私が思うに、目の前に現れた時にではなくて、ぎりぎりになってから行動を決める人が多すぎる」(345ページ)

ぎりぎりに決めるのではなく…


行動はgtdのシステムにきちんと乗せておけば、いま先送りしても、いずれ実行に移すことができます。

しかし、どんな行動を取るかという「見極め」は先送りしてはいけない、というのが、アレンの教えることです。


GTDで、仕事が終わらない状態に対処することの効果は?

終わらない仕事を終わらせていくためには、脳を「気になること」から解放し、目の前にある取るべき行動に集中させることが重要です。

そのためには、

・気になることは、すぐにインボックスに放り込むことを、常に意識する

・あるべき姿と具体的な行動をはっきりさせることを意識する

という二つの対処が有効です。


事前に、「取るべき行動」を考えておくことは、「頭脳労働」と「実際の行動」を分けるということでもあります。

行動の際は、事前に考えてあった行動を、黙々と実行することに集中することができ、実行のパフォーマンスと効率性を大きく上げることができます。

それにより、「終わらない仕事」に追われ続ける状態から脱却し、仕事やプロジェクトを次々とこなせるようになります。

仕事を終わらせることができるとともに、今は手を付けず先送りさせるプロジェクトや仕事をはっきりさせることができるようになり、「自分の時間」を取り戻すことができるようになります。




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